時計トラブルの原因は時計内部に使われる潤滑油の劣化によって引き起こされるものが大半です。愛着があって毎日肌身離さず共に過ごしている時計や年に数回しか腕に巻かない時計であっても劣化は必ず起きます。そのため、使用頻度に関わらず起こるトラブルという事を覚えておきましょう。
機械式時計は精密な歯車によって構成されていますが、この歯車の軸に注油してある潤滑油は年数が経つにつれ劣化していきます。それによって歯車が正常に動作しなくなり、トラブルを引き起こす原因となるのです。
この時計トラブルにはどういったものがあるのか?それぞれ特徴があるので紹介していきたいと思います。
該当するようなものがあれば、早急に点検やオーバーホールに出させることをお奨めします。
1. 時計がすぐに止まる
潤滑油の劣化によって起こるトラブルです。また、油切れを起こす前によく現れる特徴のひとつに持続時間の減少があげられますので持続時間が短くなったと感じたらオーバーホールに出した方が良いでしょう。
他にも自動巻き時計で毎日使っているにも関わらず手で巻き上げなければ止まってしまうような場合は、油切れを起こしている事が考えられます。潤滑油が劣化してゼンマイの動作が重くなるために起こってしまう現象です。このような場合もなるべく早めにオーバーホールに出しましょう。
2. ゼンマイが切れる
手でゼンマイを巻き上げても手応えがなく、巻き上げの感触が非常に軽い場合はゼンマイ切れによるものです。
ゼンマイ切れを起こすと、特徴的な現象を見ることができます。当然、時計は動かないのですが、手に持って少し時計を振ってみると秒針が数秒進んだ後に数秒逆転するという不思議な現象が起こります。
ゼンマイが切れてしまった場合、どうにもなりませんので修理依頼を行ってください。
3. 時間が異常に進む
たとえば、1時間に5分とか1日に1時間以上進むような異常な進みがあるような場合は、そのほとんどの原因はヒゲゼンマイの絡みつきによるものです。
時計に相当な衝撃が加わったようなときに、ヒゲゼンマイと呼ばれるバネ部品が絡みつき動作タイミングが大幅に狂うことで起こることが多いようです。このような場合は、ヒゲゼンマイの絡みつきを直し、変形を修正してあげる必要があります。
4. 時間が遅れる
この原因のほとんどは、やはり潤滑油の劣化による動作タイミングの狂いにあります。潤滑油の劣化で歯車の動きが重くなってくるために徐々に遅れるようになります。
そのまま放って置くとどんどん遅れが進んできます。その遅れが限界に達すると突然進みに転じるという不思議な現象を起こすことがあります。このような現象が現れた場合は、止まって動かなる場合がほとんどですので早急に点検をされた方が良いでしょう。
5. リューズを巻くとゴリゴリする
機械式時計は、自動巻きモデルであってもリューズを使って手動でゼンマイを巻き上げることができますが、巻き上げる時の感触がゴリゴリするような場合は、歯車の軸が油切れを起こし摩耗している恐れがあります。
自動巻きモデルであっても、毎日手動巻き上げしているようならば要注意ですよ。この場合も早急に点検をされた方が良いでしょう。
まとめ
機械式時計のトラブルのそのほとんどの原因は上記のように潤滑油の劣化によって起こります。ただ、そのトラブルのほとんどは定期的なオーバーホールによって防ぐことができます。逆にオーバーホールによってでしか防ぐことが出来ないとも言えます。
機械式時計は軸受けに注油してありますが、製造から3~4年で乾いてしまいます。毎日使う時計も、1年に数回しか使用しない時計であっても、油の乾きは平等に起きるものです。
トラブルを放置した状態で時計を使用し続けると、歯車から金属粉が発生して潤滑油と金属粉が混ざり合い、さらに他の機械部分にまでトラブルや摩耗が進行してしまいます。
あなたの大切なその時計もトラブルが起きる前に3~4年に1度の定期的なオーバーホールを行うようにして下さい。